フルートの運指で、同じ音を違う押さえ方で出せるものがあります。演奏する曲や、前のフレーズによって使い分けると便利です。特に#系の曲と♭系の曲で大きく変わるのがブリチアルディキーです。発音が難しいですね。英語ではBriccialdi Keyと書くので、ブリッチャルディキーのように発音するのが正しいかもしれません。
シの♭の押さえ方
調号が♭系の曲で、一番最初に遭遇する♭の音が、シの♭だと思います。シの♭は3通りの押さえ方があります。図に書いてみます。
一番上の(1)が基本的な押さえ方です。基本的にはこれを覚える必要があります。
次に便利なものが(2)の押さえ方で、右手人差し指の代わりに、ブリチアルディキーというものを左手親指でBキーと一緒に押さえることでシ♭が出せます。
(3)はAisレバーを用いる押さえ方で、こちらはシとシ♭のトリルをする時に便利ですが、こちらは上級者になってからでも大丈夫だと思います。
ブリチアルディキーの使い方
ブリチアルディキーがなぜ便利かというと、このブリチアルディキーを押さえっぱなしでも他の音に影響がないので、押さえっぱなしで演奏して大丈夫なのです。唯一の例外が高音ファ#で、これだけはブリチアルディキーを離さないといけません。(なぜかは後で書きます)
つまり、ブリチアルディキーを押さえていると、シがシ♭になり、後の音はそのままです。では、どういう時にブリチアルディキーを使えばよいかというと、調号が♭系の時です。♭の調号は最初にシが♭になります。つまり♭系の曲は必ずシがシ♭になっています。(シのナチュラルがでてきたら気をつけましょう)
ハ長調もしくは調号が#系の場合は、シがでてきますので、ブリチアルディキーは押さえずに、もしシ♭(ラ#)がでてきたら、普通の押さえ方をしましょう。
高音ファ#だけ例外ですと書きましたが、ファ#は、調号が#系の曲で多用されるため、あまり考える必要はないです。ですが、ファ#ってソ♭でもありまして、ソ♭は調号が♭5個の時にでてきます。♭5個以上あったら、ブリチアルディキー使うかどうかちょっと考えましょう。中音、低音だけだったら大丈夫です。
なぜ高音ファ#だけ例外なのか
なぜ高音ファ#だけ気をつけなければいけないのか、それはフルートの構造を考えるとわかります。図を書いて説明します。
まずシ♭は、上図のオレンジのキーを塞ぐ必要があります。ここを塞ぐ手段がいくつかあります。まずラを抑えると塞がれますが、これはラになってしまいます。それ以外が、右手人差し指 (1)、ブリチアルディキー (2)、Aisレバー(3)です。これらがシ♭を押さえる3種類の方法に対応しています。
ラより低い音は基本的にはラのキー(左手中指)を押さえてますので、ブリチアルディキーを押さえていようがいまいが、同じになるわけです。
ですのでブリチアルディキーが影響するのはシの音だけで、シがシ♭になるので♭系の曲を吹くのに都合が良いのです。(ドは、そもそも左手親指を離すので必然的にブリチアルディキーも離すので影響無いということです。)
しかし、高音ファ#だけ都合が悪いです。高音ファ#の運指を書いてみます。
高音ファ#は、ブリチアルディキーで塞がれる音孔を開けなければなりません。ですので、ブリチアルディキーを離す必要があります。中音ファ#、低音ファ#はそもそも塞いでるので大丈夫です。なぜ高音だけここを開けなければいけないかというと、フルートの音が鳴る仕組みで説明している倍音の原理で高い周波数の音を出していて、定在波の腹の部分の音孔を開けることで倍音を出しやすくしています。もともと高音ファ#は初心者には結構出しにくい音で、ここを開けないで音をだすのはかなり厳しいです。
♭4つ以下の調号ならファ#(ソ♭)はあまり出てこないと思いますが、もし出てきた場合は気を付けて、ブリチアルディキーを離して対応しましょう。