ロングトーンの練習は一番重要でありながら、一番つまらないと思ってしまうかもしれない練習かと思います。重要性がわかればモチベーションも上がるかと思います。一番の効果としては、透明感のある綺麗な音を出せるようになるのだと思います。無駄な息を使う余裕は無いため、必然的に息漏れも減っていきます。全ての演奏の土台となる力ですので、筋トレだと思って自分もやっています。
フルートでトレーニング
ロングトーンの練習は、メトロノームに合わせるのが重要だと思います。♩=60が1秒で1拍になるので良いかと思います。初期の頃は♩=60で7拍吹き、1拍休んで息を吸う、ぐらいがいいです。下の譜面のように、ド、シ、ラ、ソあたりがやりやすいです。ドが倍音ではない基準音の中では一番波長が短いので、やりやすいです。
気をつけることは、同じ音で音を出し続けることです。強くなったり弱くなったりしないように安定して音を伸ばす練習です。長く伸ばすためには、効率よく吹かなければいけないので、無駄な息が減っていく効果があります。息漏れも改善していきます。
7拍が余裕になってきたら、♩=60で20拍以上伸ばすトレーニングをお勧めします。20拍って20秒です。初期の頃の感覚だと絶対無理!って感じですが、フルートを吹かずに思いっきり息を吸って少しずつ吐いていき何秒もつか試してみると、意外と20秒以上できるものです。つまり、できるはずなのです。
少ない息で効率よく音を出せる感覚が身についていきます。安定して効率の良い息が出せるようになってくると、20秒もつようになってきます。最初に思いっきり息を吸い込んでみましょう。これも、上の譜面のド、シ、ラ、ソあたりがやりやすいです。
トレーニング用アイテム
家でフルートの練習ができない場合や、手が疲れていて息だけのトレーニングをしたい時に役に立つ道具をご紹介します。
まずは、腹式呼吸エクセサイズ用のロングピロピロです。
腹式呼吸エクサ ロングピロピロ ストロング
吹き込むと紙の筒がピロピロって伸びるあれが、1mもの長さで腹式呼吸エクセサイズ用に登場しました。ノーマルバージョンは吹き口が直径6mmに対し、ストロングバージョンは吹き口が直径3mmとかなり負荷がかかるようになっています。インナーマッスルを鍛えられます。
腹式呼吸はフルートのためだけではなく、健康やストレス軽減にもとても良いので一石三鳥ぐらいのメリットがあります。
もうひとつ息のトレーニンググッズをご紹介します。こちらは息をある強さ以上に保ちながら長く吹くトレーニングに適していて、ロングトーンのトレーニングになります。
ブレスビルダー(管楽器トレーニング用)
シリンダーに入っているボールを上部に保持したまま息を吹き込んだり吸ったりできるようトレーニングすることで、管楽器演奏に効果的な呼吸法を身につけることができます。
フルートがある一定以上の息を吹き込まないと音が出ないように、このブレスビルダーも、ある一定以上の息を吹き込まないとボールが上がってくれないので、ある一定以上の息を吹き続けるというトレーニングになります。
吸ってもボールは上に上がるため、吹いたり吸ったりしてればずっとボールを上がった状態にできるのですが、吹く時はなるべく長く吹けるように、ボールが上がるギリギリの息の強さで吹くようにします。これが難しいのですが、ある一定の息の量をキープして吹き続けるというトレーニングにもなります。
単純に肺活量のトレーンングにもなると思います。3500円ぐらいです。フルートでトレーニングすると、どうしても指使いの方が楽しくて演奏したくなっちゃいますが、これは息のトレーニングに集中できます。
音作りのための教本
このロングトーンの練習、最初は記録を更新したり上達を感じたりできて楽しいのですが、ずっと続けるにはさすがにつまらないと思います。そこでもうちょっと楽しくロングトーンを練習できる教本をご紹介します。
超絶技巧で有名な名フルーティスト、トレヴァー・ワイ氏の教本シリーズで、音作りのための本です。いかに息やアンブシュアのコントロールが大事かを論理的に解説してくれて、最少の時間でよりよい効果を上げるための練習方法を紹介してくれています。初級から上級者までの基礎訓練に最適なフルート教本です。原典は英語版で、1500円ぐらいです。
フルートの定番の教本、ALTES1巻です。多くの方が使う教本だと思いますが、これをちゃんとメトロノームに合わせて練習するとロングトーンだけでなく、音感やリズム感もバランスよく成長すると思います。フレーズがちゃんと音楽的になっているので、何かの曲を吹いている感じで楽しめますし、同じテーマでもバリエーションがたくさんあって、フルートの基礎力と音楽力(ソルフェージュ)が同時に鍛えられる教本だと思います。
循環呼吸
最後に循環呼吸という高等テクニックがあることをご紹介します。
こちらはフルートを吹きながら、鼻で空気を吸ってより長くロングトーンを演奏できるという超高等テクニックになります。
息を吸いながら吐くなんてことは人間にはできません。鼻も口も、喉の気管は共通のため普通に考えたら無理です。
しかし、口の中に空気を貯めておけば、その分だけは鼻で吸っている時に吐けるという仕組みです。その口の中に溜めた空気を押し出すわずかな一瞬で、鼻で空気を吸い、吹き続けるというテクニックです。
こちらの動画がとても親切に解説してくれて、実演もしてくれていますのでおすすめです。
ストローで水を永遠にブクブクできるようになったら循環呼吸で超ロングトーン演奏ができるかもしれません。