音楽理論やスケールを学び進めていくと、「モード」という概念がでてきます。たいていチャーチモードと呼ばれる7種類のスケールがでてきます。西洋音楽の中で中世からルネサンスにかけて使われていたスケールの体系の一つで、現代のメジャーやマイナースケールの前身と言えます。普通のメジャースケールやマイナースケールと何が違うの?って疑問を持つ方もおられると思います。そんな疑問に対するわかりやすいイメージを説明いたします。
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モードとは
モードとはメロディの「雰囲気」のようなものです。これまでメジャースケールとマイナースケールを説明してきました。CメジャースケールとAマイナースケールの使っている音は全く同じです。ですが、Cメジャースケールは明るい感じがしますし、Aマイナースケールは暗い感じがします。なぜでしょうか?
起点や終点とする音を変えるだけで同じ音のスケールでも聞こえ方が変わってきます。Cメジャースケールはドを起点・終点にしているのに対して、Aマイナースケールはラを起点・終点にしています。これだけでスケールの「雰囲気」がガラっと変わります。この「雰囲気」をモードだと思って差し支えないと思います。
私たちは、長調の曲は明るい、短調の曲は暗い、という認識はみんなできていると思います。つまり2種類のモードを区別して認識できています。ハ長調とイ短調は並行調といってスケールの構成音は同じですが、曲の雰囲気は明らかに違います。つまり同じ構成音のスケールでも雰囲気を変えることができるということで、これがモードという考え方です。
教会旋法(チャーチモード)には7種類のモードがありますが、そのうちの2つはメジャースケールとマイナースケールになります。これらはそれぞれ、アイオニアンスケール、エオリアンスケールとも呼ばれて7種類のうちのひとつになっています。なので、7種類のうちの2つのモードは、私たちはよく使っていて認識できているものです。残りの5つがどんなものなのかを、知ってるだけでも面白いと思いますので、この後に説明していきます。
モードスケール
メジャースケールには7種類の音がありますが、それぞれの音を起点にしたスケールをモードスケールといい、7種類存在します。これを図に書いてみます。
ドを起点にしたスケールはメジャースケールそのものですが、教会旋法的にはCアイオニアンスケールと呼びます。ラを起点にしたスケールはマイナースケールそのものですが、教会旋法的にはAエオリアンスケールと呼びます。その他も起点とした音名を先頭につけて、Dドリアン、Eフリジアン、Fリディアン、Gミクソリディアン、Bロクリアンが存在します。
「メジャースケールと何が違うの?」ごもっともです。同じものをずらして考えているだけと言えばそうです。なので別々に覚える必要はあまりないのですが、7種類の雰囲気を感じられるようになると、メジャー・マイナーの2種類のモードから世界が拡がります。
応用例としては、Cメジャーの曲調の中で、ごく普通にCアイオニアンスケールでメロディを演奏しているところで、ちょっと雰囲気を変えるべく、Cリディアンスケールを弾いてみるともっと明るくなったりします。さらにはそのメロディに合わせるべくコード進行をDmからDに変えるなどすると、ノンダイアトニックのコード進行も出来上がります。このように転調するわけでもなくモードを変えてちょっと変化を出すことをモーダルインターチェンジと言います。
各モードの特徴
では、7種類のモードがそれぞれどんな「雰囲気」を持っているのか説明していきます。スケールは7種類の音で構成されていて、1〜7までの度数で表記できることは「音階」のところで説明しました。2, 3, 6, 7度の音には長音階・短音階の2種類の音があります。また、4, 5度の音にも、完全4度・完全5度の他に増4度や減5度といった音もあります。
メジャースケール(モード的にはアイオニアンスケール)は最も調性がとれたスケールで、2, 3, 6, 7度の音は全て長音階、そして完全4度と完全5度で構成されています。これに対して、各モードスケールはどこが違ってどういう変化になるのかを表で示します。基本的に長音階が多ければ明るい感じになり、短音階が多ければ暗い感じになります。また増4度は明るくなり、減5度は暗くなります。これに基づいて7種類のモードスケールを明るい順に並べてみます。
リディアン・アイオニアン・ミクソリディアンが明るい感じになります。リディアンはメジャースケールに比べて4度が#になり、少し明るくなります。一方、ミクソリディアンは7度が短7度になるため、少し暗くなります。
ドリアンモードは、長音階と短音階が2つずつで明るくも暗くもない感じですが、私達がよく聞くメジャースケール・マイナースケールと比べるとマイナースケールに近く、若干暗い感じに聞こえるかと思います。
エオリアン・フリジアン・ロクリアンは暗い感じになり、下に行くほど暗くなっていきます。マイナースケールよりももっと暗くしたい場合は、フリジアンやロクリアンにしてみるのも良いと思います。
その他のモード(おまけ)
この7種類で全制覇だと思いたいところですが、音階の組み合わせはまだあり、それに相応するモード(スケール)もあります。上記の表で2, 3, 6, 7度の音だけでも長短の組み合わせはまだあります。ですが、隣の音と全音階よりも離れないという制約をつければ、あと考えられるのは2つです。
3度だけを短3度にしたメロディックマイナースケールです。マイナースケールのページでも紹介しましたが、クラシック等でもよく使われます。そして、これをチャーチモードのように2度の音を中心音にすると、ドリアン♭2というスケールになります。上記で紹介したドリアンスケールの2度をフラット(短2度)に変化させたものです。スーパードリアンスケールとも言います。
他にもメロディックマイナースケールから派生するいろんなモードスケールがあるのですが、もうひとつ7度の音を中心とした場合に同じになるオルタードスケールだけ紹介します。
全てが短音階かつ4度と5度まで減音階で、最高に暗いモードな気がしますが、これはほぼテンションノートで構成されているスケールで、暗いというよりかは不安定な雰囲気になります。ですのでドミナントモーションなどでトニックに解決する前段で不安定さを際立たせるためによく使われたりします。
あと、これもマイナースケールのところで紹介しましたが、ハーモニックマイナースケールというのもあり、そこから派生するモードも考えられます。その中でひとつだけ有名なスケールを紹介します。ハーモニックマイナーの5度を起点としたスケールで、「ハーモニックマイナー・パーフェクトフィフスビロウ」という長くてかっこいい名前のスケールです。ハーモニックマイナーっぽさにちょっとメロディックマイナーっぽさも融合したような響きを感じ、かっこいいメロディになります。
このようなスケールの知識は、かっこいいソロやメロディに出会った時に、これはどうしてかっこいいんだろうって分析する時に役立ちます。知らなくてもあまり困らなかったりしますが、わかると面白さが上がると思います。
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